6.7.1 倍作用×がつねに定義されるとは限らない系



 量の系((Q,+),(N,+,×),×),((Q′,+),(N′,+,×),×)で,(Q,+)と (N,+,×) がそれぞれ (Q′,+) と(N′,+,×)の部分であるようなものからは,系((Q,+),(N′,+,×),×)と((Q′,+),(N,+,×),×)が導かれる。このときには,《×がつねに定義されるとは限らない》という具合に事情が変わる。

 例えば,量の系((Q1,+),(,+,×),×)と((Q2,+),(,+,×),×)から二つの系((Q1,+),(,+,×),×),((Q2,+),(,+,×),×)が導かれる。前者は“離散量における整数比の概念の導入",後者は“単位を導入することによる,自己稠密量の離散量化”と,それぞれ読める。