6.7.2 系((Q,≦),(N,≦),f)      
   ──順序構造が専ら考えられている系



 生活において“量”と呼ばれるものには,“度数”のように,《順序構造だけが考えられていて,この構造の表現のために数が使われている》ようなものがある。

 これは,
  1. 順序集合 (Q,≦)
  2. 数の系 (N,+,×,≦) から導出される順序集合 (N,≦)
  3. (Q,≦) の (N,≦) の中への準同型f
でなる系((Q,≦),(N,≦),f)というように定式化できる。──このとき,x∈Qに対するf(x) が“xの度数”である。

 われわれの“量”の主題からは,この系は外れる。