6.7.3 行列を作用素とする系
数の系(N,+,×)に対し,Nの要素がつくるn次正方行列全体の集合をM(N,n) で表わす。M(N,n) においては,加法+と乗法×が周知のように定義される。
N
n
の内算法(加法)+を
(ξ
i
)+(η
i
)=(ξ
i
+η
i
)
で定義し,N
n
の要素 (ξ
1
,・・・・,ξ
n
) に対するM(N,n) の要素 (α
ij
) の作用
×
を
(ξ
1
,・・・・,ξ
n
)
×
(α
ij
) =
で定義する。
系 (M(N,n),+,×) は一般に“数の系”には
ならない
ので,系
M
:
((N
n
,+),(M(N,n),+,×),
×
)
は一般に量の系では
ない
。しかし
M
は,次元に関して,量の系のモデルであるところの
((N,+),(N,+,×),×) = ((N
1
,+),(M(N,1),+,×),
×
)
の一般化になっている。この意味で,
M
と同型な系は量の系に準ずる系であると言える。