8.0 イントロ



 数の系,量の系,位の系は,それぞれカテゴリーをつくる。但し,各々の数の系Nが単独でカテゴリーCNをつくり,Nを係数の系として随伴する量の系の全体および位の系の全体がそれぞれカテゴリーCQ,CSをつくる,という具合である。

 関数の中で数の系の間の倍関数や量の系の間の比例関数が別格の扱いを受けるのは,それがカテゴリーの射(morphism)──“構造”の立場からの言い回しでは,準同型(homomorphism)──として意義づくものだからである。(特に,比例関数の逆は反比例関数ではなく,比例関数である。)

 また“カテゴリー”の観点からは,“測定”がカテゴリーCN,CQ,CSの間の関手(functor)として意義づくことになる。さらに,“単位系の変更”が自然変換(natural transformation)として意義づく。

 実際,算数科以来の主題になる“量測定",“比例関係の計算",“単位系の変更”は,“カテゴリー”の概念によって定式化されるところの主題である。(Cf.銀林浩,“発生的立場からも考えよう",数学セミナー,1978(2),pp.27-31.)