8.1.2 “数の拡張”と比例関数



 (N,+,×) が +]であるとき,(N,+,×) を係数の系とする量の系Q1,Q2 に対する比例関数f:Q1─→Q2 は,つぎの条件で特徴づけられる (註1)
  1. f(x×n)=f(x)×n (n∈])(註2)
  2. N=+]のときは,さらにfが連続であること.




(註1) (1) N=]の場合:
 f(x×n/m)=f(x)×n/mが成り立つことを示す。
 x×n/m=yとすると,あるv∈Q1 に対し,x=v×m,y=v×n。条件から,f(x)=f(v×m)=f(v)×m,f(y)=f(v×n)=f(v)×n。これは,f(x)×n/m=f(y),f(x)×n/m=f(x×n/m) を示す。



 (2) N=+]の場合:
 量としての+]に対する比例関数f:+ ─→+─→]が,条件 (i),(ii) で特徴づけられることを示せばよい。
 先ず,
f(lim(qi/pi))=f(1)×lim(qi/pi)
が成り立つ。実際,fの連続性から,
f(lim(qi/pi))=lim(f(qi/pi))
また,fの]への制限を考えれば,(1) より
f(qi/pi)=f(1×qi/pi) =f(1)×qi/pi
であり,これから
lim(f(qi/pi))=f(1)×lim(qi/pi)
 そこで,x=lim(qi/pi),ξ=lim(ni/mi) に対し,
f(x×ξ)
=f(lim(qi/pi)×lim(ni/mi))
=f(lim(qi/pi×ni/mi))
=f(1)×lim(qi/pi×ni/mi)
=f(1)×lim(qi/pi)×lim(ni/mi)
=f(lim(qi/pi))×ξ
=f(x)×ξ。

(註2) これは,算数科における比例関係の表現:
“一方が2倍,3倍,・・・・ に変わるとき,もう一方も2倍,3倍,・・・・に変わる”
そのものである。