8.3 比例関数の表現──“比例定数”



 ((Q1,+),(N,+,×),×),((Q2,+),(N,+,×),×) を量の系とし,ui をQi の単位とする(i=1,2)。

 このとき,比例関数f:Q1 ─→ Q2 は,Qiの単位ui(i=1,2)に対する関係:

f(u1)=u2×α

で決まってしまう──実際,

f:u1×ξ 2×(ξ×α) (ξ∈N)

である(註1)。そこで特に,αはfの表現になる。αの意義は“(Q1の単位u1とQ2の単位u2に関する)fの表現数”であるが,この意義に対する伝統的な言い回しが“比例定数”である。

 αがfの表現であるということを,つぎのように説明することもできる。

 関数
N ─→ N; 
ξ ξ×α

に対しつぎの図式が可換となる:



この意味ではfの表現になるが,一方──α倍の倍関数──に対してはαがこれの表現になる(註2)

 算数科で“一方が2倍,3倍,・・・・になるとき他方も2倍,3倍,・・・・になる関係”──f(x×ξ)=f(x)×ξ──として指導された“比例関数”が中学校では“y=ax”に変わってしまうが,比例関数fに対するが“y=ax”の正体である。



(註1) f(x)=f(u1×ξ)=f(u1)×ξ=(u2×α)×ξ=u2×(α×ξ)。

(註2) 先に,量の系に準ずる系として“数空間と同型な系”の概念を導入したが(§6.7.4),この系の準同型の表現は,(量の系の表現が“比例定数”としての一個の数であったのに対し)数の行列になる。──“線型写像の表現行列”の考え方と同じ。