Up 線型空間の基底,次元  


     ベクトル空間(D,K)に対しこれの“基底”とは,Dの要素の組{u1,・・・・,un}で,条件:
Dの任意の要素x
xu1×ξ1+ ・・・・ +un×ξn (ξiK;i=1,・・・・,n)
の形に一意的に表わされる.
    を満たすもののことです。 “基底”は“単位”の概念の拡張である──“測定値”はこのとき,係数の組(ξ1,・・・・,ξn)へと拡張されています。 (“測定値”の要件は,一意であること!) この係数の組を,ベクトルxの座標 (coordinates) と呼ぶことにします。
     u1,・・・・,un が基底を成すということには,集合{u1,・・・・,un}が線型独立であるということ──どのuiも,他のuj (j≠i) の線型結合の形には展開できない──ということが含意されています。 また逆に,Dの要素の集合{u1,・・・・,un}で条件:
Dの任意の要素が,u1,・・・・,un の線型結合で書ける.
    (このことを簡単に“{u1,・・・・,un}はD全体を生成する”と言い表わす) を満たすものは,線型独立であれば基底です。 要するに,D全体を生成する集合{u1,・・・・,un}を線型独立な要素の組に絞り込んでいけば基底が得られるということです。
     線型空間(D,K)の基底は,どれも一定の個数の要素から成ります(註)。この数を線型空間(D,K)の次元といいます。基底が“単位" (=“全ての要素を数値化して表現する単位") の概念の拡張であることを考えると,次元とは要するに,“単位”を構成するのに必要な要素の個数のことです。 ──特に,アフィン空間としての量(E,D,)における線型空間(D,)は1次元。

      (註) 証明としては,n 個の要素から成る集合{u1,・・・・,un}が基底になるとき n+1 個の要素の集合{v1,・・・・,vn+1}は基底にならない,ということを言えばよい。実際このとき,{v1,・・・・,vn+1}が線型従属 (“線型独立”の逆) であることが言えます。
       先ず n=1 の場合を考える。このとき,
      v1u1×α11     (1)
      v2u1×α12     (2)
      と書ける。α11が 0 ならv1=0 で{v1,v2}は線型従属。α11≠0 とすると, (1)×11-1×α12)−(2) の計算から
      v1×11-1×α12)−v2=0
      結局,{v1,v2}は線型従属。
       つぎに n=2としてみる:
      v1u1×α11u2×α21   (1)
      v2u1×α12u2×α22   (2)
      v3u1×α13u2×α23   (3)
      αijが全て 0 ならv1v2,v3は全て 0 で,
      v1,v2,v3}は線型従属。そこで,そうではないとして例えばα11≠0 であるとすると, (1)×11-1×α12)−(2),(1)×11-1×α13)−(3) の計算から,
      v1×σ−v2u2×β11   (4)
      v1×τ−v3u2×β12   (5)
      の形の連立式が得られます。 そこでn=1のときの結果から, {v1×σ−v2v1×τ−v3} の組は線型従属。したがって{v1,v2,v3}も線型従属。
       同様の考え方で,一般のnについて言えます。