Up 地図帳に情報を書き込む 作成: 2018-01-14
更新: 2018-01-14


    われわれは日常生活で,標高とか温度とか風力といった,高度・強度タイプの(くらい)を,場所に対応させて考える。
    このことを,つぎのように捉える:
      多様体 \(M\) の各点 \(\bf x\) にスカラー値 \(f(\bf x)\) を対応させる関数 \(f\) を立てる
        \[ f : M \longrightarrow \mathbb{R} \]

    \(f(\bf x)\) は,\(M\) に関する情報である。
    これを,地図帳の各ページ \(\phi\) に書き込むことにする。

    この書き込みは,つぎの図式を可換にする関数 \( F_{\phi} \) ── 即ち,\( F_{\phi} = f \circ \phi^{-1}\) ──として表現される:
    例えば \( F_{\phi}^{-1}(5) \) は,(\(f\) が連続の場合)「5度」の等高線である。


    \(\phi\) に書き込まれた情報 \(f\) は,\(\phi\) と重なり部分をもつ \(\psi\) にも書き込まれている。
    \(\phi\) と \(\psi\) の上の重複した情報── \( U_{\phi \psi} \) に関する情報──は,関数 \( \psi \circ \phi^{-1},\, \phi \circ \psi^{-1} \) を以て,互いに翻訳できる。
    しかし,互いに翻訳できるといっても,つぎが成り立つのでなければ「地図帳」とは言えない:
      \( U_{\phi \psi} \) における高度の変化の模様は,\( \phi\) で読んでも \( \psi\) で読んでも同じ

    ここで,「\(C^r\) 級」が効いてくる。
    実際,「\(C^r\) 級」は, 「高度の変化の模様は,\( \phi\) で読んでも \( \psi\) でも同じ」の条件である。