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キャンバスとしての空間
作成:
1989-04-28
修正: 2002-09-18
空間は,わたしたちがその上に絵を描こうとするところのキャンバスの一種です。
この比喩での“キャンバス”として,“電光掲示板”を思い浮べるとしましょう。 そこでは,オンになっている電球とオフになっている電球とで,絵がつくられます。
絵は,オンになっている電球全体のこととして,空間の部分です。
このときの絵を描く行為は,空間の或る部分の顕在化です。 そしてこの行為は,存在としての空間を
変えません
。空間は,わたしたちの絵を描く行為から独立しています。 空間の“部分”は,空間に対するわたしたち自身の投企です。
わたしたちの描く絵は,何かの表現であるかも知れないし,そうでないかも知れません。 そして,何かの表現であるか否かは,絵にとって本質的なことではありません。 実際,絵自体は,それが何かの表現であるかそうでないかについては,何も語ってくれない。表現か否かは,絵そのものの問題ではなく,描くわたしたちの思いの問題です。