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幾何学と空間
作成:
1989-04-28
修正: 2002-09-18
幾何学は,それぞれ,一つの世界です。 そこで,各幾何学について,《世界内事態を表現する》という目的での空間の導入が考えられてきます
(註)
。
空間を幾何学の表現のように考えてはなりません。 幾何学に対して空間が導入されるとき,それは,〈幾何学内事態の表現としての絵がその上に描かれるところのキャンバス〉として導入されるのです。 幾何学に対する空間の意義は,わたしたちが幾何学における対象を空間の部分として表現したり,対象間関係を空間の部分の間の関係として表現したりするといったことに,示されています。
特に,“しかじかの幾何学を満たす空間”という言い回しは,適切とは言えません。 “満たす”は,“幾何学の事態を不足なく表現する絵をその上に描くことができる”というように読まれなければなりません。
(註)
例えば,幾何学基礎論の形で(ヒルベルトの公理系として)述べられるユークリッド幾何学に対し,ユークリッド空間(§3.5)が導入されます。