Up 接ベクトル束 作成: 2018-01-31
更新: 2018-01-31


    地図帳は,地図を束ねたものである。

    リーマン多様体 \(M\) では,点 \( P \in M\) ごとに,\( P \) の近傍地図 \( \phi_P \) が作成されている。
    地図の数学的構造名は, 「接ベクトル空間 tangent vector space」である。
    \( \phi_P \) は, 「\(M\) の \( P \) における接ベクトル空間 \(T_P(M)\)」ということになる。

    したがって地図帳は,つぎの関数ないし集合である:
      \[ P \longmapsto T_P(M) \quad ( P \in M) \\ \  \\ T(M) = \bigcup_{P \in M} T_P(M) \]

    一方,地図帳は地図をただ束ねたものではない。
    地図帳は,隣合う頁には近接した地域の地図がくるようにつくられる。
    地図を上に積み上げて地図帳にするとき,それは「上下に連続・なめらか」の構造の実現である。

    集合 \( T(M)\) に対しては,この位相構造・可微分構造を考えることになる。
    この数学的構造名は,「接ベクトル束 tangent vector bundle」である。