Up リーマン曲率の考え方 作成: 2018-01-12
更新: 2018-01-12


     
  • EMANの物理学 (「リーマン曲率」)から拝借:

    曲がり具合を表す方法

     自分のいる空間が曲がっているかどうか判定するためには平行移動の概念を応用すればいい。

     例えば地球の表面でのことを考えてみよう。
    まず赤道直下のある一点で、地面に北向きのベクトルを描く。
    これをベクトル A としよう。
    ベクトル A を赤道に沿って平行移動して地球の反対側にまで持って行ってもやはりこれも北向きのベクトルである。
    これをベクトル B としよう。
    ベクトル A と B を両方とも北極へ向けて平行移動したらどうなるか。
    両者は北極点ではまったく正反対を向いたベクトルとなる。

     一つのベクトルを、同じスタート地点からそれぞれ別ルートで平行移動させて行って最終的に同じゴール地点にたどり着いた時、ベクトルの方向が食い違ってしまっているということが起きる。
    地面が曲がっている場合にはそうなるのである。

     このことを別の表現をしても良い。
    あるベクトルを平行移動させながら、ぐるりと一つの輪を描くようなコースで元の位置に戻ってくる時、そのベクトルは初めとは違う方向を向いてしまっている。
    上の例で言えば、北極点を起点にして考えると分かり易い。
    平らな地面では決してこんなことは起こらない。
    よってこれを曲がり具合の度合いを表す数値「曲率」として採用したらどうだろうか。

     しかしこれだけではまだ不安があるだろう。
    地面が曲がっているにも関わらず、あるコースを一周してきたらベクトルの方向が元と変わりなかった、なんて偶然は絶対に起こらないと言い切れるだろうか。
    例えば、道筋の途中まではずれが大きくなっていくのだが、途中から反対方向にずれていて先ほどのずれを打ち消していくとしたらどうだろう。
    またベクトルの方向が 360°ずれてしまった場合には、ずれたかどうだか判断が付かないことになる。

     そのような不安を解消する方法がある。
    曲率というだけあって、率を考えればいいのだ。

     概して、大きな輪を描くコースを移動すればその移動分だけ大きなずれが生じる傾向がある。
    小さな輪を描いて移動すればずれは小さく抑えられるはずだ。
    行き返りで同じコースを通ったならば輪の面積は 0 だし、ずれも 0 となる。
    この考えに矛盾は無さそうだ。

     よってベクトルのずれの度合いを、輪を描いて一周するコースの面積で割ってやればいいのではなかろうか。
    面積を無限小に近付けてやれば、「ある一点での曲がり具合」というものが求まるだろう。
    これなら先ほど挙げた不安は解消だ。

    曲がっていそうで曲がっていない

     ところで普通の感覚で言えば絶対曲がっているように見えるのに、リーマン曲率が 0 になってしまうケースがある。

     えっ?初めの方の説明で「不安は解消された」なんて言ったくせに今さらなんてことを言い出すのだろう。
    そういう事態が起こらないかを心配していたのだ。
    ・・・なんて文句を言われてしまいそうだが、まぁどんな場合にこのことが起きるか聞いてもらいたい。

     例えば円筒の側面。
    この上でベクトルを平行移動して一周してもベクトルの方向は変化しない。
    当然だ。
    円筒の展開図を描けばその側面は平面そのものだ。
    この側面でのベクトルの平行移動は、展開された平らな面上で平行移動したのと全く同じ事だからである。

     展開して平面になるような曲面といえば、円錐の側面も同じである。
    他にはあまり無いから安心して欲しい。
    折り紙を折り曲げないで、くにゃくにゃと曲げただけで作れる曲面と言えば、円筒的か円錐的かのどちらかくらいしかないだろう。

     円筒や円錐の側面上に住んでいる 2 次元人にとって、世界が筒状に巻かれていようと、平面に伸ばされていようと、幾何学的に何の違いも感じる事はない。
    これではリーマン曲率が 0 になっても仕方ないのではないだろうか。
    違いが無いのだから違いを表しようがない。

     これで「曲がった面」と呼んでいるものの正体と範囲がだんだん明らかになって来ただろう。
    平面を曲げただけで実現できるもの[は] 曲がっているとは言えない