Up 「曲率」導出のアイデア 作成: 2018-01-22
更新: 2018-03-05


    「リーマン多様体の曲率」というものを考える。
    さて,これはどんなふうに定義できるものになるか?


    リーマン多様体の曲率は,「リーマン多様体 \( M\) の点 \( P \) における曲率」として定義する。

    地図 \( \phi_P \) の上で,ベクトル \( \bf A \) をとる。
    これを,\( P \) を出発点にして,地図を接ぎつつ,平行移動 ( 「平行移動」) で単純曲線を一周させる:
    1. 地図 \( \phi_P \) 上で,\( \bf A \) を \( P \) から微小移動する。
    2. 移動先 \( P_1 \) の地図 \( \phi_{P_1} \) を開き, \( \phi_P \) を読み込む。
      \( \bf A \) の像のベクトルを,\( {\bf a}_1 \) とする。
      \( \phi_{P_1} \) 上で\( {\bf a}_1 \) を微小移動する。
    3. 移動先 \( P_2 \) の地図 \( \phi_{P_2} \) を開き, \( \phi_{P_1} \) を読み込む。
      そして上と同様のことをする。
    4. この手順を繰り返して,最後の点 \( P_n \) から \( P \) に戻る。
      \( \phi_{P} \) を開き,\( \phi_{P_n} \) を読み込む。
      \( {\bf a}_n \) の像 \( {\bf A'} \) を得る。

    このとき,《宇宙旅行すると,地球に戻ってきたとき,自分の時計が地球の時計より遅れている》のように,\( {\bf A}' \) がもとの \( \bf A \) からズレることが見込まれる。
    このズレを以て,「リーマン多様体 \( M\) の点 \( x \) における曲率」を定義しようというのである。


     註: 平行移動での<地図を接ぐ>は,ズレをつくろうとしてわざとやっているのではない。
    「リーマン多様体」の趣旨では,一つの地図は「地図として機能する領域は微小」と考えるものになる。
    「移動」は,「地図を接ぐ」を以て成ることなのである,