「リーマン多様体の曲率」というものを考える。
さて,これはどんなふうに定義できるものになるか?
リーマン多様体の曲率は,「リーマン多様体 \( M\) の点 \( P \) における曲率」として定義する。
地図 \( \phi_P \) の上で,ベクトル \( \bf A \) をとる。
これを,\( P \) を出発点にして,地図を接ぎつつ,平行移動
( 「平行移動」)
で単純曲線を一周させる:
- 地図 \( \phi_P \) 上で,\( \bf A \) を \( P \) から微小移動する。
- 移動先 \( P_1 \) の地図 \( \phi_{P_1} \) を開き, \( \phi_P \) を読み込む。
\( \bf A \) の像のベクトルを,\( {\bf a}_1 \) とする。
\( \phi_{P_1} \) 上で\( {\bf a}_1 \) を微小移動する。
- 移動先 \( P_2 \) の地図 \( \phi_{P_2} \) を開き, \( \phi_{P_1} \) を読み込む。
そして上と同様のことをする。
- この手順を繰り返して,最後の点 \( P_n \) から \( P \) に戻る。
\( \phi_{P} \) を開き,\( \phi_{P_n} \) を読み込む。
\( {\bf a}_n \) の像 \( {\bf A'} \) を得る。
このとき,《宇宙旅行すると,地球に戻ってきたとき,自分の時計が地球の時計より遅れている》のように,\( {\bf A}' \) がもとの \( \bf A \) からズレることが見込まれる。
このズレを以て,「リーマン多様体 \( M\) の点 \( x \) における曲率」を定義しようというのである。
註: |
平行移動での<地図を接ぐ>は,ズレをつくろうとしてわざとやっているのではない。
「リーマン多様体」の趣旨では,一つの地図は「地図として機能する領域は微小」と考えるものになる。
「移動」は,「地図を接ぐ」を以て成ることなのである,
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