Up 「真っ直ぐな線」 作成: 2018-01-12
更新: 2018-01-20


    リーマン多様体 \( M \) の中を ( \(M\) を球面に喩えるときは「面上を」),点 \(x\) を出発点にして真っ直ぐ進むことを考える。

    地図 \( \phi_x\) を開き,この上につぎのようにベクトル \(\bf A\) を措く:

    そして,
    1. \( \phi_x\) の上で,\(\bf A\) をこれの方向に \(d{\bf x}\) だけ進める。
    2. \( x' = {\phi_x}^{-1}({\bf x} + d{\bf x}) \) として,地図 \( \phi_{x'}\) を開く。
      \( \phi_{x'}\) の上には,ベクトル \(\bf A\) が現れている。
      これを,これの方向に \(d{\bf x}\) だけ進める。
     以下,この手順を繰り返す。

    そうすると,開いた地図 \( \phi_x\) 全体に対する \( x\) 全体は,\( M \) の中を真っ直ぐに進んだ軌跡になっているはずである。
    そして,\(d{\bf x}\) を「\( \to \bf 0\)」にすれば,真っ直ぐな線が得られることになる。
    ──実際,「真っ直ぐ」は,これ以外の意味では考えられない。


    「手順」は,実行できる操作である。
    よって,リーマン多様体は,「真っ直ぐな線」をつくることができる。
    「真っ直ぐな線」は,存在定理を俟つまでもなく,存在する。

      「真っ直ぐな線」が存在するようにさせているものは,「点ごとにデカルト座標の地図が立っている」という,リーマン多様体の強力な条件である。

    「真っ直ぐな線」を「測地線」と呼ぶ。
    上の場合は,ベクトル \( A\) に沿う形でつくったから,「A に沿う測地線」ということになる。