Up リーマン計量 \(g_{ij}\) 作成: 2018-01-27
更新: 2018-03-06


    リーマン多様体 \( M\) は,「曲がった空間」の主題化である。
    そしてその「曲がった空間」は,つぎの形で表現されるものである。
      《点 \(P\) の地図 \(\phi_P\) を点 \(P'\) の地図 \(\phi_{P'}\) に読み込むと,
       \(\phi_P\) のデカルト座標が曲線座標になって現れる》


    空間が曲がっているので,距離は曲線の長さになる。
    これの測度は,<距離の微分を継ぎ足す>を<地図を接ぐ>を以て行うものになる。
    ──測度は,<微分>で考えるものである。


    2点\(P,\,P'\) 間の距離──微小な距離──を測る。
    これは,つぎのように考える:
      地図 \(\phi_P\) を地図 \(\phi_{P'}\) に読み込む。
      \(\phi_{P'}\) に現れた \(P,\,P'\) 間の距離を,デカルト座標で読む。

    \(P,\,P'\) 間の距離は,なぜ \(\phi_P\) ではなく \(\phi_{P'}\) 上で読まれるのか。
    物事の進行は,このようになるからである。
    \(P'\) は \(P\) の後に続く存在であり,本来,\(P'\) が現れたところで \(P,\,P'\) 間の距離の対象化となるわけである。


    \(P,\,P'\) 間の距離を求める。

    \(\phi_P\) を \(\phi_{P'}\) に読み込む:

    図は,デカルト座標 \(X^i\) と曲線座標 \(x^i\) のメッシュを描いているので,座標をそのまま読めそうに思わせてしまう。 しかし実際は,座標のメッシュは計算して出てくるものである。 そしてその計算は,いまから行おうとする計算と同じものである。

    このときわかっているとするものは,\(\phi_{P'}\) 上の \(P\) の \(x^i\) 座標
      \[ ( a^1,\,\cdots,\, a^n ) \]
    である。
    というのも,これは \(\phi_P\) における \(P'\) の \(X^i\) 座標の符合を逆にしたものだからである。

    これの \(X^i\) 座標
      \[ ( A^1,\,\cdots,\, A^n ) \]
    は,座標変換の式に順い,つぎのようになる:
      \[ \left( \begin{array}{c} A^1 \\ \vdots \\ A^n \\ \end{array} \right) \ =\ \left( \begin{array}{ccc} \frac{\partial X^1}{\partial x^1} & \cdots & \frac{\partial X^1}{\partial x^n} \\ & \cdots & \\ \frac{\partial X^n}{\partial x^1} & \cdots & \frac{\partial X^n}{\partial x^n} \\ \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} a^1 \\ \vdots \\ a^n \\ \end{array} \right) \]

    そこで,\(P,\,P'\) 間の距離 \(s\) は,
      \[ \begin{align*} s^2 &= \sum_{k} (A^k)^2 \\ &= \sum_{k} \left( \sum_i \frac{\partial X^k}{\partial x^i} a^i \right)^2 \\ &= \sum_{k} \left( \sum_{i,j} \frac{\partial X^k}{\partial x^i} \frac{\partial X^k}{\partial x^j} a^i a^j \right) \\ &= \sum_{i,j} \left( \sum_{k} \frac{\partial X^k}{\partial x^i} \frac{\partial X^k}{\partial x^j} \right) a^i a^j \end{align*} \]
    ここで,
      \[ g_{ij} = \sum_{k} \frac{\partial X^k}{\partial x^i} \frac{\partial X^k}{\partial x^j} \]
    とおいて,つぎの式を得る:
      \[ s^2 = \sum_{i,j} g_{ij} a^i a^j \]


    はじめに述べたように,距離の計算は「微分」で考えることになる。
    よって,最終的に提示する式は,つぎのものである:
      \[ ds^2 = \sum_{i,j} g_{ij} dx^i dx^j \\ \quad g_{ij} = \sum_{k} \frac{\partial X^k}{\partial x^i} \frac{\partial X^k}{\partial x^j} \]


    ここまで「距離を求める」と言ってきたが,いまよりは「計量」の言い回しを用いる。
    ──実際,「距離「も「計量」も,英語では同じ metric である。