Up リーマン計量 \(g_{ij}\) 作成: 2018-01-27
更新: 2018-02-13


    リーマン多様体 \( M\) は,点 \(\xi\) ごとに地図 \(\phi_{\xi} \subset \mathbb{R}^n\) をとるものである:

    地図 \( \phi_{\xi} \) は,中心の \(\xi\) から離れるほど,図が実際を歪めたものになる。
    この歪みは,非線形な歪みである。
    そして,非線形な歪みをもたらしているものは,地面の曲がりである。

    この「曲がり」を,曲線座標として表現した:

    (1)   地図 \( \phi_{\xi}\) のデカルト座標の基底を, \[ {\bf E} = \{ {\bf E}_1,\, \cdots,\, {\bf E}_n \} \] とする。
    この基底に対する座標系を,\(X^i\) 座標系と称する。
    (2)   \( \phi_{\xi}\) 上の \({\bf x}\) に対し,曲線座標系の \({\bf x}\) における基底──局所直線基底──を, \[ {\bf e}({\bf x}) = \{ {\bf e}_1({\bf x}),\, \cdots,\, {\bf e}_n({\bf x}) \} \] とし,基底 \({\bf E}\) に対する各 \( {\bf e}_i({\bf x}) \) の座標を \[ ( e_i^1({\bf x}) ,\, \cdots,\, e_i^n({\bf x}) ) \] とする──即ち, \[ {\bf e}_i ({\bf x}) = e_i^{\ 1}({\bf x})\, {\bf E}_1 + \cdots + e_i^{\ n}({\bf x})\, {\bf E}_n \quad ( i = 1, \cdots, n ) \]
    また,基底 \({\bf e}({\bf x})\) に対する座標系を,\(x^i({\bf x})\) 座標系と呼ぶ。

    但し,簡便上,\( X^i\) 座標に対して \( x^i\) 座標と言ったりもする。
    (3)   このとき,基底 \( \bf E \) に対する座標 \(( X^1,\, \cdots,\, X^n ) \) と基底 \({\bf e}({\bf x})\) に対する座標 \(( x^1,\, \cdots,\, x^n ) \) の変換式がつぎのようになる: \[ \left( \begin{array}{c} X^1 \\ \vdots \\ X^n \\ \end{array} \right) \ =\ \left( \begin{array}{ccc} \frac{\partial X^1}{\partial x^1} & \cdots & \frac{\partial X^1}{\partial x^n} \\ & \cdots & \\ \frac{\partial X^n}{\partial x^1} & \cdots & \frac{\partial X^n}{\partial x^n} \\ \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} x^1 \\ \vdots \\ x^n \\ \end{array} \right) \\   \\ \left( \begin{array}{c} x^1 \\ \vdots \\ x^n \\ \end{array} \right) \ =\ \left( \begin{array}{ccc} \frac{\partial x^1}{\partial X^1} & \cdots & \frac{\partial x^1}{\partial X^n} \\ & \cdots & \\ \frac{\partial x^n}{\partial X^1} & \cdots & \frac{\partial x^n}{\partial X^n} \\ \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} X^1 \\ \vdots \\ X^n \\ \end{array} \right) \] 特に, \[ (e_i^{\ 1},\, \cdots \, e_i^{\ n} ) = \left( \frac{\partial X^1}{\partial x^i},\, \cdots \, \frac{\partial X^n}{\partial x^i} \right) \\ \]


    いま,地図 \(\phi_{\xi}\) の上で,\(\bf x\) から \(\bf x'\) までの距離を考える:
    この距離は,曲線座標に現れる:
    二つは,ずれる:
    ここに,\( x^i\) 座標で見るときの \({\bf x},\,{\bf x'}\) の距離の考え方が,問題になる。


    曲線座標の \( \bf x' \) (図の赤色) を,\( \bf x'' \) で表す。

    \( \bf x'' \) の \( x^i \) 座標は,\( \bf x' \) の \( X^i \) 座標と,同じである。
    この座標を \[ ( a^1,\,\cdots,\, a^n ) \] とする。
    そして,\( \bf x'' \) の \( X^i \) 座標を \[ ( A^1,\,\cdots,\, A^n ) \] とする。

    このとき,
      \[ \left( \begin{array}{c} A^1 \\ \vdots \\ A^n \\ \end{array} \right) \ =\ \left( \begin{array}{ccc} \frac{\partial X^1}{\partial x^1} & \cdots & \frac{\partial X^1}{\partial x^n} \\ & \cdots & \\ \frac{\partial X^n}{\partial x^1} & \cdots & \frac{\partial X^n}{\partial x^n} \\ \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} a^1 \\ \vdots \\ a^n \\ \end{array} \right) \]

    そこで,\( X^i\) 座標で見た \({\bf x},\,{\bf x'}\) の距離をsとすると,
      \[ \begin{align*} s^2 &= \sum_{k}^n (A^k)^2 \\ &= \sum_{k}^n \left( \sum_i \frac{\partial X^k}{\partial x^i} a^i \right)^2 \\ &= \sum_{k}^n \left( \sum_{i,j} \frac{\partial X^k}{\partial x^i} \frac{\partial X^k}{\partial x^j} a^i a^j \right) \\ &= \sum_{i,j} \left( \sum_{k}^n \frac{\partial X^k}{\partial x^i} \frac{\partial X^k}{\partial x^j} \right) a^i a^j \end{align*} \]
    ここで,
      \[ g_{ij} = \sum_{k}^n \frac{\partial X^k}{\partial x^i} \frac{\partial X^k}{\partial x^j} \]
    とおいて,つぎの式を得る:
      \[ s^2 = \sum_{i,j} g_{ij} a^i a^j \]


    ただし,この式は「微分」で考えることになるものである。
    よって,最終的に求める式は,つぎのものである:
      \[ ds^2 = \sum_{i,j} g_{ij} dx^i dx^j \\ \quad g_{ij} = \sum_{k} \frac{\partial X^k}{\partial x^i} \frac{\partial X^k}{\partial x^j} \]

    さらに,ここまで「距離を求める」と言ってきたが,いまよりは「計量」の言い回しを用いる。

     註.   英語では metric であり,「距離空間」も「計量○○空間」も metric space である。