Up 地図を接ぐ 作成: 2018-02-17
更新: 2018-02-18


    「空間探査」は,つぎのことをしようとする:
      空間 \(S\) の中を移動し,
      移り変わる<いま・ここ>を,移り変わる居場所 \( P \in S \) の地図 \(\phi_P\) として,逐次記録し,
      記録帳 \( \phi = \{\phi_P\} \) をデータとして,<いま・ここ>がどんな運動をしてきているのかを解析し,
      この運動から,反照的に空間 \(S\) の構造・ダイナミクスを推理する。

    前後が重ならない地図をつくってしまうと,運動解析がそこで途切れてしまう。
    また,地図 \(\phi_P\) は地理を投影法で写すので,原点 (\(P\) と対応) を離れると誤差が大きくなる。
    そこで,地図作成の要諦は,「地図を細かく接ぐ」である。


    地図 \(\phi_P\) を作成したわたしは,つぎに向かう先を \(\phi_P\) に載っている点 \(P'\) に定める。
    そして出立する。

    \(P'\) への移動は,ただの移動ではない。
    移動には,
        <\(\phi_P\) のデカルト座標の平行移動>
    の作業が含まれている。
    実際,「地図を接ぐ」は「座標の保持」の上に可能になることである。
    地図を接ぐ旅は,座標を接ぐ旅である。

    \(P'\) に着いたわたしは,地図 \(\phi_P'\) を作成する。
    このとき \(\phi_P'\) のデカルト座標は,保持してきたデカルト座標の原点を \(P'\) に措いたものである。

    \(P'\) は \(P\) から近い点を選んでいるので,\(\phi_P'\) には \(P\) が載ることになる。
    かくして,「地図を接ぐ」が果たされた。