Up 「n次元人」って何よ? 作成: 2018-02-01
更新: 2018-03-11


    自分の<わかっている>は,所詮<わかっているつもり>である。
    心理の機序は,<わかる>への願望を落ち着かせるのに,<わかっているつもり>を用いるのである。
    そのような<わかっているつもり>のうちに,つぎのものがある:
        低次元の話を,高次元の喩えとしてわかっているつもり


    「現空間」の主題化は,『相対性理論』を意識している。
    実際,主題化したいものは,『相対性理論』がいう「空間の曲がり」である。
    「空間の曲がり」を主題化する数学は,「多様体」である。
    そこで,われわれの空間を「多様体」に見なそうとする。
    さて,この「見なす」は,どんなふうにすることか?

    <わかったつもり>は,低次元の喩えに寄り掛かることで得ている:
      「2次元人──2次元多様体に棲む」
      「1次元人──1次元多様体に棲む」
      よって,
      「われわれ──3次元多様体に棲む」


    「2次元人」の喩えで使う多様体の絵は,球面である:
    「1次元人」だと,円である:
    ここで,\(T_P,\, T_{P'}\) は,それぞれ点 \(P,\, P'\) における接平面・接線 (→「接ベクトル空間」) 。

    よって,「われわれ──3次元多様体に棲む」は,「3次元超球面・3次元接超平面」の絵になる。
    この絵を,低次元の延長として,飲み込むというわけである。

    しかしこれは,<飲み込んだつもり>である。
    実際,この<飲み込んだつもりつもりの絵図>は,いったいどう使えるというのか。