Up 時空4次元の旅 作成: 2018-02-19
更新: 2018-02-19


    リーマン幾何学は,宇宙空間の空間構造を定めるものではない。
    数学は「if (所与) then ‥‥」の体系であり,数学の実用は所与が定まってから始まる。
    宇宙空間の探査では,『相対性理論』が与える「時空4次元」を,宇宙空間の構造とする。

    ここまで,空間の点の表現として<いま・ここ>の言い回しを用いてきたが,それは,「空間」が「時空間」になることを見越してのことであった。
    実際,空間探査の旅の記録は,「いつ・どこで」の記録であるから,それの座標は時空4次元なのである。

      スケジュール帳が日常的に使われる。これは時空4次元の実践である。
      「4次元」というと,「クラインの壺」のようなものを思い浮かべ,「超次元」のように思ってしまう向きがある。 しかし,「時空4次元」は,現実的/卑近な「4次元」である。



    「リーマン多様体」は,「見えない空間──見えないのはわたしがこの中にいるから」を主題化する幾何学である。
    よって,「地図作成の旅」の「旅」は,「地面の上の移動」のようにイメージすると,間違う。
    実際,「地面の上の移動」であれば,空間が既に見えているわけである。──地面を見る目は,空間の外に立って空間を見る目である。

    「見えない空間──見えないのはわたしがこの中にいるから」は,宇宙空間がまさにこれである。
    そこで,「地図作成の旅」の「旅」は,「宇宙空間の中の移動」がまさにこれである。

    この「旅」は,「宇宙船の旅」を意味するのではない。
    ふつうにしていることが「旅」であり,日記を書くことが「地図作成」である。
    これが「旅」になっていることは,日記帳を読めばわかる。

    「リーマン多様体」は,「宇宙空間の幾何学」をイメージにすると,基本的なところで間違わずに済む。
    では「リーマン多様体」に添わせるべき「宇宙空間」の論は,何がこれにあたるか。
    『相対性理論』ということになるわけである。