Up ベクトルの平行移動の像 作成: 2018-01-11
更新: 2018-02-12


    「地図の接続」や「微分」の概念の導出では,「ベクトルの平行移動」が手法になる。
    一方,「リーマン多様体/幾何学」のテクストは,この「ベクトルの平行移動」をきちんと解説しない。
    したがって学習者は,わかったつもりになるか,わかったふりをするしかなくなる。

    というわけで,「ベクトルの平行移動」のイメージづくりを,先ずやっておくことにする。



    地図 \(\phi_P\) に,地図 \(\phi_{P'}\) を読み込む。
    この結果,曲線座標が導かれる。 ( 曲線座標 )

    (1)   \( \phi_P\) のデカルト座標の基底を, \[ {\bf E} = \{ {\bf E}_1,\, \cdots,\, {\bf E}_n \} \] とする。
    この基底に対する座標系を,\(X^i\) 座標系と称する。
    (2)   \( \phi_P\) 上の \({\bf x}\) に対し,曲線座標系 (上図の赤色のメッシュ) の \({\bf x}\) における基底──局所直線基底──を, \[ {\bf e}({\bf x}) = \{ {\bf e}_1({\bf x}),\, \cdots,\, {\bf e}_n({\bf x}) \} \] とし,基底 \({\bf E}\) に対する各 \( {\bf e}_i({\bf x}) \) の座標を \[ ( e_i^1({\bf x}) ,\, \cdots,\, e_i^n({\bf x}) ) \] とする──即ち, \[ {\bf e}_i ({\bf x}) = e_i^{\ 1}({\bf x})\, {\bf E}_1 + \cdots + e_i^{\ n}({\bf x})\, {\bf E}_n \quad ( i = 1, \cdots, n ) \]
    また,基底 \({\bf e}({\bf x})\) に対する座標系を,\(x^i({\bf x})\) 座標系と呼ぶ。

    但し,簡便上,\( x^i({\bf x})\) 座標を\( x^i\) 座標,\( x^i({\bf x})\) 座標を\( x^i\) 座標,と言ったりもする。


    ここで押さえておこうとすることは,つぎのことである:
      「正規直交座標の上のベクトルの平行移動は,曲線座標の上にどう現れるか」


    \( x = P,\, x' = P' \) とする。
    正規直交座標の上で,ベクトル \({\bf A} \) をつぎのように平行移動する:

    この平行移動を,曲線座標に現す:

    \( {\bf a},\, {\bf a'} \) は \( {\bf A} \) の平行移動の像であるから,つぎの3つの (共変) 座標は同じ:
      基底 \( {\bf E}\) に対する \( \bf A\) の座標 \( ( A_1,\,\cdots,\,A_n ) \)
      基底 \( {\bf e}({\bf x})\) に対する \( {\bf a}\) の座標 \( ( a_1,\,\cdots,\,a_n ) \)
      基底 \( {\bf e}({\bf x'})\) に対する \( {\bf a'}\) の座標 \( ( a'_1,\,\cdots,\,a'_n ) \)

    ベクトルの座標は,位置ベクトルとしての座標である。
    よって,座標変換式の適用として,つぎの関係式が立つ:
      \[ \left( \begin{array}{c} A_1 \\ \vdots \\ A_n \\ \end{array} \right) \ =\ \left( \begin{array}{ccc} \frac{\partial X^1}{\partial x^1} & \cdots & \frac{\partial X^1}{\partial x^n} \\ & \cdots & \\ \frac{\partial X^n}{\partial x^1} & \cdots & \frac{\partial X^n}{\partial x^n} \\ \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} a_1 \\ \vdots \\ a_n \\ \end{array} \right) \\   \\ \left( \begin{array}{c} A_1 \\ \vdots \\ A_n \\ \end{array} \right) \ =\ \left( \begin{array}{ccc} \frac{\partial X^1}{\partial x'^1} & \cdots & \frac{\partial X^1}{\partial x'^n} \\ & \cdots & \\ \frac{\partial X^n}{\partial x'^1} & \cdots & \frac{\partial X^n}{\partial x'^n} \\ \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} a'_1 \\ \vdots \\ a'_n \\ \end{array} \right) \]
    ( 「座標変換」 )