さて,「自殺者数の推移」の度数分布に折れ線グラフを用いるのは,数学的には間違いである。
算数科だと「折れ線グラフの間違った使い方」の題材になる。
「自殺者数の推移」のグラフは,折れ線グラフではなく,棒グラフになる:
そして,この間の自殺者の総数の計算は,つぎになる:
1581 + 1570 + 1851 + 1910 + 1849 + 2158 + 1798
= 12717
また,前年度のグラフを重ねるときは,つぎのように書くことになる:
なぜ折れ線グラフはダメなのか。
つぎが,何かの温度変化のグラフだとしよう。
このグラフは,「○月」が「基準時刻から○か月経過した時刻」の解釈になり,そしてその間の「何月何日何時何分何秒‥‥」の温度を概数で読ませることを含んでいる。
これが,折れ線グラフの約束である。
「自殺者数の推移」を折れ線グラフで
のように書けば,1500人以上の自殺者が切れ目無く発生していることになる。
荒唐無稽である。
ちなみに,縦軸が「人」ではなく「人/単位時間」だと,リアルなグラフではないが,まだしも意味はつく。
時刻tの死亡者増加率 (速度) を示すグラフになるわけである。
そして,この間の自殺者の総数の計算ができる。
──例えば「人/月」だと,つぎの計算になる:
\[
\begin{align}
\ \ \ \ & \int_0^{1} \bigl( \frac{ 1570 - 1581 }{ 1 } \,t + 1581\bigr) \,dt \\
& + \int_0^{1} \bigl( \frac{ 1851 - 1570 }{ 1 } \,t + 1570 \bigr) \,dt \\
& + \int_0^{1} \bigl( \frac{ 1910 - 1851 }{ 1 } \,t + 1851 \bigr) \,dt \\
& + \int_0^{1} \bigl( \frac{ 1849 - 1910 }{ 1 } \,t + 1910 \bigr) \,dt \\
& + \int_0^{1} \bigl( \frac{ 2158 - 1849 }{ 1 } \,t + 1849 \bigr) \,dt \\
& + \int_0^{1} \bigl( \frac{ 1798 - 2158 }{ 1 } \,t + 2158 \bigr) \,dt
\\ \\
= \ \ & \frac{ 1570 + 1581 }{ 2 }
+ \frac{ 1851 + 1570 }{ 2 }
+ \frac{ 1910 +1851 }{ 2 } \\
& + \frac{ 1849 + 1910 }{ 2 }
+ \frac{ 2158 + 1849 }{ 2 }
+ \frac{ 1798 + 2158 }{ 2 }
\\ \\
= \ \ & \frac{ 1581 }{ 2 } + 1570 + 1851 + 1910 + 1849 + 2158 + \frac{ 1798 }{ 2 }
\\ \\
= \ \ & 11027.5
\end{align}
\\
\]
グラフ (度数分布グラフ)
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