Up 批判は簡単,だれでもできる」か? 作成: 2010-10-13
更新: 2010-10-13


    授業参観に臨む学生に対し,つぎのようなガイダンスがされるのを見たことがある:
     ひとの授業の批判は簡単です。だれにでもできることです。
     その授業のいいところを見つけるようにしましょう。

    このように「批判は簡単,だれにでもできる」を言うのは,批判の意味を理解していないことになる。 そしてこのことばが学生に投げられるとき,これは批判を封じるものになる。 実際,批判は「良識の欠如」ということになってしまうのである。


    学生から批判的なことばを出させないことが趣旨なら,ここはつぎのように言うところである:
     くだらない批判は簡単です。だれにでもできることです。
     的確な批判はあなたがたにはまだ無理ですから,
     いまのところはその授業のいいところを見つけるようにしましょう。

    しかし,そもそも論を言えば,「的確な批判はまだ無理」を言うよりは,学生に批判を促すのが本当である。
    学生から出てくるくだらない批判に対しては,その都度,これが「くだらない批判」であることを示し,「的確な批判」が課題化されるように導く。これが指導である。
    実際,学生が「批判」を学ぶ形は,これである。
    そして,教員においても,学生に批判をさせこれに指導を返していく度量と器量を持っていることが,当然のことになる。