Up 生徒の「活き活き」の評価は,単純ではない 作成: 2010-10-14
更新: 2010-10-14


    授業評価では,「生徒が活き活きしていた」が,よい授業であったと褒めることばになっている。 そこで,授業の素人である教育実習生などは,「生徒が活き活きしていなかった → 授業は失敗であった」の思考回路になり,そこから,生徒を活き活きさせるために,興味を惹き・興味をつなぐための小道具で授業を埋め尽くすということをやってしまう。

    しかし,数学の勉強というものは,ほんとうに数学的思考に入り込んでいるときは,「活き活き」の表情にはならないのである。 ひどく沈鬱な表情の方が似合っているくらいである。
    「活き活き」のとき,生徒はまだ数学に入っていない。
    「活き活き」のレベルで終始する授業は,結局数学に入っていない。

    生徒を主題の数学に入らせるためには,教師の方で「主題の数学に入る」がどういうことか,わかっていなければならない。 「活き活き」のレベルで終始する授業をする教師は,いまの主題において「主題の数学に入る」がどういうことなのかがわかっていないか,あるいは「主題の数学に入る」という概念をそもそも持っていないのである。


    研究授業に際しては,生徒の「活き活き」の評価が単純でないことを押さえておく必要がある。