Up 「経済─景気変動」のメタファ 作成: 2012-12-26
更新: 2012-12-26


    学校数学には,「進歩」を読むべきものは無い。
    「是非」を読むべきものは無い。

    学校教育は,<生きる>系である。
    <生きる>は,<運動>を含意している。
    この運動は,「進歩」ではない。
    攪乱と均衡回帰の繰り返しが観察されるのみである。

    ここで,学校数学における攪乱と均衡回帰の繰り返しを,つぎのようにとらえる:
      《学校数学は,一つの「経済」の系として,
       「景気変動」を自身の生きる形にする。》
    実際,行政の教育施策は,学校教育を景気づける景気対策である。
    教育を改革しようとする各種運動や機関・組織も,学校教育を景気づけるものである。

    学校数学に対する「経済─景気変動」のメタファは,つぎの二つの意味から有用である:
    1. 「経済─景気変動」は,「進歩」の跡を残すものではない。
      一巡して,何も起こらなかったのと同じ状態へと戻る。
    2. 「経済─景気変動」に是非はない。

    学校数学は,景気サイクルの発現を自己目的化した運動をする。
    好況とは無駄な購買が興ることである。 好況に「進歩」の意味はない。
    好況・不況の景気サイクルを運動するのみである学校数学に「進歩」を展望するのは,錯認である。