Up 「問題解決」「コミュニケーション」にエスケープ 作成: 2012-02-10
更新: 2012-02-10


    「問題解決」「コミュニケーション」をねらいとする授業は,「問題解決の時間」「コミュニケーションの時間」と名乗るなら,問題はない。
    問題は,これが「算数」にされることである。


    算数は,数学の小学校版である。
    小学校版ではあるが,数学は数学である。
    算数の各主題は,専門数学のどこかの分野にきちんと収まる。

    翻って,算数は,各主題が数学のどんな主題なのかがわかっていて,はじめて教えられる。
    現実には,小学校教員は,数学をやってきていない。
    したがって,算数を教えることは,できていないわけである。


    算数の勉強は,数学の勉強である。
    数学の勉強は,忍耐がベースになる。
    そこで,算数は,同時に「石の上にも十年」を教えることになるものである。
    (一般に,「三年」は短く,「十年」ということにしなければならない。)

    「石の上にも十年」を以て生徒を引っ張っていけるものは何か?
    「大事」である。
    「大事だから,我慢してついて来い」を言うのが指導である。

    翻って,算数は,「大事」がわかっていて,はじめて教えられる。
    「大事」は,数学の「大事」である。
    現実には,小学校教員は,数学をやってきていない。
    したがって,算数を教えることは,できていないわけである。


    小学校教員は,算数を教えることができていない一方で,「問題解決」「コミュニケーション」に熱心になる。
    算数を放っぽりだして,「問題解決」「コミュニケーション」をやる。
    これはどういうことか?
    「問題解決」「コミュニケーション」をやっていれば,算数を教えることと向き合わずに済むということである。

    「問題解決」「コミュニケーション」は,教員のエスケープである。
    教員の都合であって,生徒のためではない。
    教員の都合に,生徒が付き合わされるわけである。