Up 便利なメディア/素材に依存しない 作成: 2011-03-11
更新: 2011-03-11


    便利なメディア/素材は,使用を抑えること。
    使うと,これに依存するようになるからである。

    また,この「便利」の内容は,だいたいが教員自身の便利である。 学習効果とは直結しない。
    実際,学習は<カラダ>の出来事であり,便利は<カラダ>のためにならない。

    そして,この「便利」は,教員の授業力の弱さを隠蔽し,あるいは慰撫し,授業力鍛錬の必要感を弱める方向に作用する。
    そこで,授業の初心者であるほど,「貧しい」メディアで授業することが大事になる。


    数学の授業は,基本「チョークと黒板」で考える。
    これには,つぎの2つの意味がある:
    1. 授業は,「チョークと黒板」でないとダメ。
    2. 「チョークと黒板」(貧しいメディア) では授業できなくなるような弱い授業力では,ダメ。
    ここで,つぎがA の意味である:
      書き順を伝えるのに最良のメディアは,「チョークと黒板」。

    書き順は,どの教科でも忽せにできないものであるが,特に数学では,推論と直結したものになる。
    実際,式や図を書くのも推論である。 正しい推論をするとは,正しい書き順で書くということである。
    そこで,「チョークと黒板」が数学の授業の基本メディアになる。
    ──逆に,一括ディスプレイを免れないディジタル・ディスプレイが,数学の授業では最悪のものになる。 (「ディジタル教材の考え方」)