数学教育では,「多様な考え」とはつぎの方法論のことである:
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個の多様性を解発すると多様な考え方・アイデアが出てくることを,知る。
多様な考え方・アイデアには,自ずと巧拙・優劣があることを,知る。
巧拙・優劣は両者反照的に知られることを,知る。
巧・優の方を,成果 (数学) として回収する。
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ところがこれを,「一人ひとりの意見の尊重」「個人尊重」の話にもっていく向きがある。
つまり,「人権・デモクラシー」の話とかぶせてしまうのである。
「人権・デモクラシー」の話にすると,拙・劣を「拙・劣」だと言って退けることができなくなる。
実際,教員は,つぎのようにまとめることになる:
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「いろいろな考えが出てきてよかったね。」
「どれも一つひとつ,すばらしい考えでした。」
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数学の授業のこの体(てい)は,数学がイデオロギーによって歪められている体(てい)である。
数学の授業であれば,つぎのようになる:
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拙・劣を,はっきり「拙・劣」だと言い,そして退ける。
巧・優を,はっきり「巧・優」だと言い,そして成果として回収する。
つぎのことを強調する:
巧・優を知ることは拙・劣を知ることであり,拙・劣を知ることは巧・優を知ることである。
特に,巧・優は,これだけを教えられてわかることにはならない。
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