Up 絶対と恣意 作成: 1996-10-09
更新: 2007-08-09


    理論 (論理系) の使用では,「恣意」と「絶対」が交互する:

    1. リアルから理論への解釈は,恣意
    2. 理論の中の推論は,絶対
    3. 理論からリアルへの解釈は,恣意

    すなわち,

    1. <存在>を理論の中の対象・関係に表現 (抽象) するのは,恣意
    2. 理論の中での計算は,絶対
    3. 計算結果を<存在>に表現 (具象) するのは,恣意




    リアルと理論のカップリング──リアルに対しどの理論をどのように適用するか──は,本質的に恣意である。正しい・正しくないは,ない。 あるのは,「ひとに受容されるかされないか」(この意味で,「有効かそうでないか」)。

    特に,リアルと理論のあるカップリングが妥当かどうかは,ケース・バイ・ケース (状況依存,人依存,文化依存)。

     例 : (リアル → 理論)
    書架におさまるかどうかという関心から本のサイズが問われている場合,センチメートル単位で答えるのが妥当。(ミリメートル単位で答えたら,変わった人だと思われる。)しかし,それと同形の本をつくることが課題になっているときは,ミリメートル単位で答えることになる。
    (理論 → リアル)
    「円」を表現するのに円をフリーハンドで書いてよい場合もあるし,コンパスを用いて書くことが必要な場合もある。


    ひとに受容される恣意を指すことばが「行儀(マナー)」。このことばを使えば,受容の基準は「行儀(マナー)のよし/悪し」。

    「行儀(マナー)のよし/悪し」は,ケース・バイ・ケース。──したがって特に,「行儀(マナー)」は経験的に習得する他ない。