Up 「1次関数」の数学を持っていない 作成: 2013-10-19
更新: 2013-10-20


    教員は,1次関数でないものを「1次関数」として授業する。
    「1次関数」の数学を捉えていないからである。
    捉えていないのは,つぎのいずれかによる:
    1. 捉えることをしない
    2. 捉えることができない


    A. 捉えることをしない
    これは,いまの自分に満足し,成長に向かわない様である。
    「1次関数」をわかっているつもりでいる。
    自分は中学生のときに1次関数を勉強した」を以て,「自分は1次関数をわかっている」「自分は1次関数を教えられる」にする。

    B. 捉えることができない
    これは,いまの自分に不安であるが,成長に向かえない様である。
    この場合の「成長に向かう」は,「1次関数」の数学の捉えに向かうことであるが,この方途がわからない。
    そこで,自己流に「1次関数」を解釈するのみとなる。


    両者は,「1次関数」の数学に出会ったことがないことで,共通している。 あるいは,出会っているが勉強をサボったことで,あるいは,その出会いが「1次関数」の数学との出会いであることに気づかなかったことで,共通している。

    概して,教員は,「1次関数」を言い出す以前に,そもそも「関数」がわかっていない。

    関数は,つぎの言い方を以て導入される:
    1. 「関数f: X → Y」(「fは,集合Xから集合Yへの関数(註)」)
    2. 「f: x├─→ ‥‥」(「fは,Xの要素xに対し,Yの ‥‥の要素を対応させる」)
      註:学校数学では,Xを「fの定義域」,Yを「fの値域」と呼ばせる。

    そこで,教員がもしこの言い回し (最初に1を言って, つぎに2を言う) を正しく勉強していれば,「1次関数の定義域・値域は?」の問いを持つことになり,そして「それは実数体 」と答えることになる。
    「1次関数の定義域・値域は,実数体 」を知っているかどうかは,「1次関数」の授業づくりを左右する。
    なぜなら,1次関数でないものが「1次関数」として授業されるときのその「1次関数」は,きまって,定義域・値域が連続でなくて離散のものになっているからである。──特に,「1次関数」を「段々に増加・減少」と同じに見なしている。