「行列」のもとになる考え方は,簡単なものです(それは小学算数にあります)。
ところが,いまの学校数学では,学習者はこのことを知らされずに,「行列」を意味不明の体で学習(?)しています。
勉強の要諦は,<卑近・ルーツ・簡単>を知ること。
そこで,ここでは,話を無用に難しくするようなことがらは,扱いません。
例えば:
- 「係数体 (スカラ)」の概念
いまは,「ベクトルの倍作用素=実数」で話を進めていますが,線型空間の一般論では「倍作用素」も一般化されます。
すなわち,「倍作用素全体としての実数全体」は「係数体」の概念に一般化され,そして「実数」は「スカラー」の概念に一般化されます。
ここでは,これについては触れません。
- 一般次元化
ここでは,取り扱う次元を2とし,一般次元までは考えません。
「取り扱う次元を2とする」理由は,つぎの2つです:
- 高校数学の「行列」の扱いに合わせる。
- 大学で「行列」の授業を受けた学生のほとんどが,「行列」の意味を最後まで理解しないまま (「行列」に意味があることを意識しないまま) 学習を終えている。
これの原因は,「行列」の授業が一般次元の抽象論になっているということです。
授業者の思いはこうではないのですが,数学の授業者はもともと数学ができてしまう人なので,数学がわからない (意味のところで挫折する) 学習者のことがよくわかりません。それで,概して,自分の勝手な思い込みの授業になってしまいます。
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