Up かけ算の順序を,物の話にしてしまう 作成: 2011-06-30
更新: 2011-06-30


    数学の中では,かけ算の順序は定理である。
    「ああでもない・こうでもない」の議論は,起こる余地がない。
    「かけ算の順序」論争が延々と続き,また延々と続けられるのは,かけ算の順序を数学の中の話にしていないためである。

    「かけ算の順序を数学の中の話にしていない」には,二つの場合がある。
    一つは,「論理で縛られる」という意味での「数学」を,はなから知らない場合である。
    これは,数学の初心者の場合である。
    数学の初心者といっても,小学校教員で算数を授業している者のほとんどは,数学の初心者ということになる。 実際,「論理で縛られる」の理解は鍛錬のたまものであるが,教員養成課程はこの鍛錬を課すところまではいっていない。

    「かけ算の順序を数学の中の話にしていない」のもう一つの場合は,かけ算の順序を<物>の話にしている場合である。
    すなわち,「空の色は?」のように「かけ算の順序は?」を考えようとするのである。

    「空の色は?」を考えるためには,空を見る。
    そして,自分に見える色を論ずる。
    これを,「かけ算の順序は?」でやる。
    「リンゴがどう・皿がどう」とやるわけである。

    感じ方・論じ方は,ひとによって違ってくる。
    自分の中でさえ,一つには定まらない。
    「ああでもない・こうでもない」を延々と議論できることになる。