Up | 実用論は「かけ算の順序」を<こだわり>の問題にする |
すなわち,「かけ算の順序はこだわる問題ではない」「かけ算の順序にこだわるのは愚」を言う。 いっぽう,ここで否定されている<こだわり>を生業としているのが,数学である。 「かけ算の順序にこだわるな」を言うことは,「数学はやめよう」を言うことである。 数学が<こだわり>を生業としているとは,どういうことか。 数学は,つぎのことを厳格に行おうとする: 翻って,「厳格」の概念に無知ないし「厳格」の意義に関心の無い者は,「厳格」をつまらないこだわりと感じることになる。 そして「厳格」がこだわりにされるところでは,数学は生きられない。 数学は,理論構築において,実用は見ていない。 すなわち,理論構築の営みは,「専ら重要な含意を求め,アブストラクト・ナンセンスはやらない」の意識に導かれているとはいえ,たてまえとしては,実用論から独立している。 実際,「実用から独立」のスタンスが,「既成によって曇らされた眼では見えなかった形式」の発見へ導くことに効く。あるいは,このことが期されている。 |