Up | 「数は量の抽象」 の功罪 | 作成: 2011-06-30 更新: 2011-07-01 |
数学で「ああでもない・こうでもない」を論ずる形は,数学メタ論 (数学方法論) である。これができるためには,数学の高い専門性を身につけねばならない。 逆に,数学は物の論だということにしてしまえば,みんなが「ああでもない・こうでもない」を言えるようになる。 数学を即物論をすることによりみんなが「ああでもない・こうでもない」を言えるようになることは,即物論の「経済効果」というものである。 「数は量の抽象」 は,数学論議のハードルを低くしたというより,無くした。 これは,「数学の大衆化」になった。 「数は量の抽象」 の経済効果は大きいのである。 これが,「数は量の抽象」 の功罪を言うときの「功」の方である。 功罪の「罪」の方は,《「数と量」には数学がある》という考えを端から持たない者 (モンスター) を養ってしまったことである。 実際,「かけ算の順序」での「ああでもない・こうでもない」の論争は,《「数と量」の数学を押さえた上で自論に進む》の概念を持っていないからできることである。 この概念を持っていないのは,この概念を持つ機会を失したからである。 そしてその機会を失したのは,「数は量の抽象」が,自分の出会った「数と量」だったからである。 |