Up 数学における「数と量」の範疇  


    かけ算の順序なんかどうでもいい!」の素人論は,「数学でも,かけ算の順序はどうでもいい!」に転じてくると、具合のわるいものになる。 かけ算の順序は,数学では肝心なことである。

    数学でも,かけ算の順序はどうでもいい!」は,「×」の意味の無知にさらに<生かじりの数学>が加わって出てくることばである。
    そこで<生かじりの数学>に警戒心を持ってもらうために,「×」が同一の意味をもつところの「数」の数学がどの程度の拡がりをもった領域であるかを,ここで示すことにする。
    きわめて専門的な内容になるが,ここの趣旨は,領域の拡がりを鳥瞰することで,自然数の「×」に棲む「井の中の蛙」を意識的に脱していようということである。



    さて,ここで問題になっている「×」は,<数を量計算に使う>が文脈になっている。 ところで,数学の「量」は形式である。 この形式を,数を素材にしてつくる。 この意味で,数が量をつくる。( 『「数とは何か?」への答え』))

    実際,数学では,量のカテゴリー区分:


    を実現するようにして,数が構築されている:


    すなわち,上記の量のカテゴリー区分と (数から構成した) 量形式の対応が,つぎのようになる:


    例えば,「一皿2つのリンゴが3皿」は,このうちの「離散─大きさ」のカテゴリーでやっていることになる。

    四元数では,積が可換でなくなる。
    四元数の後には,八元数・十六元数の流れがあるが,これらの数では,積が結合的でなくなる。 そして,「結合的でない」は,「量をもてない」を意味する。
    『「数とは何か?」への答え』):