Up 「倍数・約数」の主題の出自──整数比の簡約 作成: 2012-07-15
更新: 2012-07-15


    「数」の出自は,「量表現」である。
    このときの「量表現」は,「もとの量のどれだけ」を形とする。
    そして,「どれだけ」をことばにするとき,それが「数」になる。

    「どれだけ」は,量の比である。
    よって,「数」とは,量の比をことばにしたものである。

    「数」として,学校数学では自然数,分数,正負の数,実数,複素数が出てくる。
    この「数のいろいろ」は,「量のいろいろ」に応じたものである。
    すなわち,対象とする量を単純なものから複雑なものにしていくその都度,量に応じる数を新たにつくることになり,結果として,いろいろな数をもつことになる。

    「数」の出自は「量表現」であり,「量の比」が「数」の意味であるから,「数」の主題は基本的に「量の比」に溯るふうになる。
    「倍数・約数」の主題は,「量の比」としての「整数比 (分数)」に溯る。


    2量の整数比が n/m であるとは,第三の量でこれのm倍,n倍がもとの2量になるものが存在するということである:


    量の比を整数比で表すとき,「同値な表現」が問題になる。
    すなわち,同じ比を表現する異なる整数比が無限にある。
    実際,整数比 n/m は,任意の自然数kに対し,整数比 (k×n)/(k×m) と同値になる:


    ここから,つぎが主題になる:
    • 「同値な表現の代表」

    このときの「代表」の考え方は,「最も簡約された表現」である。
    そこで,つぎが主題になる:
    • 「整数比の簡約」

    整数比の簡約は,「2数のそれぞれを積に分解 (因数分解) して,2数を共約する数を見つける」が方法になる。
    そこで,つぎが主題になる:
    • 「約数」
    • 「公約数」

    最も簡約された整数比は,2数を共約する数がない場合である。
    そこで,つぎが主題になる:
    • 「既約」
    • 「互いに素」

    整数比を既約にする (整数比の2数を互いに素にする) 方法は,2数の公約数のうち最大のもので2数を除することである。 (実際,最大公約数pで除した結果の2数が互いに素ではなくてqを公約数にもつとき,p×qが最初の2数の公約数ということになり,pが最大公約数であることに矛盾する。)
    こうして,つぎが主題になる:
    • 「最大公約数」

    「最大公約数」が主題になると,つぎに最大公約数を求める方法が主題になる。
    方法は,「2数それぞれにおいて因数分解をこれ以上はできない形にまで進め,2数に共通の因数積で最大のものを求める──共通の因数積で最大のものが最大公約数になる」である。
    こうして,つぎが主題になる:
    • 「素数」
    • 「素因数分解」