「比例」の現行指導内容は,最初に単位を設定する構成になっている。
この構成が導く 「比例」の授業は,つぎのものである:
(1)「比例関係」の数値表の導入
T. | 「等速」を考えよう。 |
T. | 2秒に10mだと,6秒では? |
P. | 時間が2秒の3倍だから,距離は10mの3倍で,30m。 |
T. | 12秒だったら? |
P. | 時間が2秒の6倍だから,距離は10mの6倍で,60m。 |
P. | 時間が6秒の2倍だから,距離は30mの2倍で,60m。 |
時間 (x秒) | | 2 | | 6 | | 12 | |
距離 (ym) | | 10 | | 30 | | 60 | |
(2)「比例」のことばの導入
T. | 2つの量x,yの間の関係で,xの値が2倍,3倍,‥‥のときyの値も2倍,3倍,‥‥の関係を,「比例」という。 |
(3)「y=決まった数 × x」の導入
P. | 縦が,同じ倍になっている。5倍だ。 |
P. | だから,6秒のとき (6×5)m=30m,12秒のとき (6×12)m=60m。 |
T. | 5はどこから出てくるのか? |
P. | 1秒のとき 5m。 |
T. | 「y=決まった数 × x」のきまりが見つかった。 |
T. | 「比例関係」は,「y=決まった数 × x」と言い換えられる。 |
このように,「比例」の現行指導内容の構成では,「比例関係」と「y=ax」が表を横に見るか縦に見るかの違いになる。
そして,表だけのことであれば,横・縦どちらが優位ということはない。
こうして,「比例関係」と「y=ax」は同列のものになる。
このことを,本論考はつぎのようにまとめる:
数学の「比例」の構成:
に対し,現行の「比例」指導は,つぎの構成になっている:
|