Up はじめに──本論考の趣旨 作成: 2010-12-13
更新: 2010-12-13


    本テクストは,『数は量の比──「数は量の抽象」ではない』 (以下『数は量の比』) への導入ないし簡約版としてつくるものである。 というのも,『数は量の比』は,初学者にとってはけっこうな分量になっていて,主題を捉えることが困難なふうになっているからである。

    『数は量の比』の主題は,つぎのものである:
      学校数学の「数」は「数は量の抽象」であり,これは数学の「数」ではない。 数学は,「数は量の比」になる。
      したがって,数学的におかしなことが「数の指導」として現前している。

    また,数学の「数」については,つぎの3書で解説している:
    「数は量の抽象」は,数学としての論理の体系が立たない。
    学校数学は,「数は量の抽象」である。
    学校数学の「数」の論議は,従うべき論理をもたないから,なんでもありの論議になる。
    よって,それはきまって論争に進む。
    ときに攻撃になり,相手の貶し合いになる。
    これに対し,数学には論争はない。
    実際,論理の体系にするとは,論争を無いものにするということである。
    数学で論争が起こったとき,それは論理の体系に欠陥があるという意味になり,論理の体系の修正に向かうのみとなる。

    「数は量の抽象」は数学ではない。
    数学ではないとしたら,何か?
    イデオロギーである。
    実際,それの出自の歴史においても,それはイデオロギーだったのである。