Up 量の軸 作成: 2011-12-23
更新: 2012-02-15


    数直線」は,自分を「<量>の軸」と読ませる。 体積の単位を添えたら<体積>の軸であり,重さの単位を添えたら<重さ>の軸である。

    しかし,現にあるものは,<長さ>のものさしである。 実際,描かれている目盛りを使って測れる量は,長さである。
    では,これが<体積>や<重さ>の軸であるとは,どういうことか?
    これの説明は,数学になる。
    以下,これを確認する。

    「<重さ>の軸」を例にする。
    「<重さ>の軸」として描くのは,つぎのものである:


    この軸の上に,例えば「250g」を目盛る場合,それはつぎの手順になる:
    1. Oの点から1の点までの距離を求める。
        ──これをとする。
    2. kg に対する 250g の比を求める。
        ──これは 0.25。
    3. Oからの距離がの 0.25 倍になる点を,軸上に求める。
        ──この点に,「0.25」を目盛る。

    さて,これは数学として何をやっているのかというと,<重さ>と<長さ>の間の同型 (両者の量の構造に関する同型) を立てている。

    <重さ>と<長さ>を,それぞれ ((Q重さ, ), ×, (N, +, × )),((Q長さ, ), ×, (N, +, × )) とする。この例では,Nは小数である。

    <重さ>と<長さ>の同型対応は,つぎの条件を満たす写像f:Q重さ → Q長さ である:
    1. fは,Q重さ と Q長さ の間の1対1対応
    2. f()=f() f()  (, ∈ Q重さ)
    3. f( × n )=f() × n  (∈ Q重さ,n∈ N )

    ここで例にしている<重さ>の軸では,<重さ>と<長さ>の間の対応がつぎのようにつくられている:
    1. kg に,任意の長さ を対応させる
    2. kg × n に × n を対応させる (n∈ N)

    以上が,「量の軸を描く」の数学である。