Up 「比の3用法」の「数直線」図 作成: 2011-12-01
更新: 2012-02-21


    「2gの3倍は6g」から,つぎの3タイプの問題が導かれる:
「2gの何倍が6gか?」
「2gの3倍は何gか?」
「何gの3倍が6gか?」
    <数は量の抽象>の立場は,「比の3用法」の言い回しを以て,この3タイプの問題に対し「×」「÷」がつぎのように定まると説く:
「2gの何倍が6gか?」 比の第1用法:
何 = 6 ÷ 2
「2gの3倍は何gか?」 比の第2用法:
何 = 2 × 3
「何gの3倍が6gか?」 比の第3用法:
何 = 6 ÷ 3
    さらに,この「比の3用法」を,つぎの「線図」に表す:


    そして,下辺の1と上辺の量の対応に対し,「1と見る/1あたり量」の読み方をする。


    「比の3用法」は,「形式不易の原理」と合わさって,分数・小数への適用となる:



    上に示した「線図」は,今日「数直線」に替えられている:





    数直線」は,比例関係の図式に近づけたふうになっている。 すなわち,下辺と上辺の間の対応する倍が,書かれるようになる。
    しかしここで押さえるべきは,「数直線」は依然として「比の3用法」の表現であり,数学の明証に進んだわけではない,ということである。 「数直線」は「線図」と本質的に変わらない。

    ここは,再び学校数学の「×・÷」と数学の「×・÷」の違いを確認するところである。

    学校数学は,<数は量の抽象>を立場にする。 <数は量の抽象>は,「比の3用法」(ないしこれの表現である「線図」「数直線」) を以て,「×・÷」を定める。 そしてこれは,数の積の意味を「1あたり量 × いくつ分」に定めるというものである。
    一方,数学は,<数は量の比>である。数の積の意味は,「倍の合成」である。
    ( 学校数学の「数」は,<数は量の抽象>)