Up 「かけ算・わり算の立式・計算」の数学
    ──<表現の還元>の推論
作成: 2011-11-17
更新: 2012-02-12


    量の文章題を解くとは,これを数の式に還元することである。

    例として,つぎの文章題を考える:
      板にペンキを塗る。
      2/3 dL のペンキで 3/4 m2 塗れるとき,1 dL では何 m2 塗れるか?

      これは,直接には,体積 (かさ) と面積の比例関係の問題になる:
        2/3 dL に 3/4 m2 が対応するとき,dL には何 m2 が対応するか?

        比例関係とは,二つの量の系の間の関係で,「一方の 2, 3, ‥‥ 倍にもう一方の 2, 3, ‥‥ 倍が応じる」というものである。 特に,一方の分数倍にはもう一方の同じ分数倍が応じる。

        2/3 dL は量 dL の 2/3 倍のことであり,3/4 m2 は量 m2 の 3/4 倍である。
        問われている「何 m2」の「何」は数であり,「何 m2」は m2 の「何」倍のことである。
        そこで,つぎが「数の式への還元」の推論になる:
      問題 2/3 dL に 3/4 m2 が対応するとき,
      dL には何 m2 が対応するか?
      問題を図式化 2/3dL に
      3/4m2が対応
      dL に何 m2
      が対応
      「比例関係」
      の適用
      「2/3dL」
      を分析
      一方の 2/3 倍に
      他方の 2/3 倍
      が対応
      倍関係の問題
      として解く
      倍関係の問題
      に還元された
      「何m2」と
      「3/4m2」を
      分析
      「×」の文法 
      「÷」の文法 


        この例に見るように,文章題を還元してわり算の式に至るのは,わり算の式の直前にかけ算の式への還元ができていて,このかけ算の式の変形としてわり算の式が導かれる場合である。
        特に,文章題に「かけ算の文章題」と「わり算の文章題」の別があるわけではない
        倍の合成の可換図式でどの倍が未知かということで,その倍を表す式がかけ算になったりわり算になったりする。 「<倍の合成の可換図式>に還元される文章題」が,「かけ算・わり算の文章題」の意味である。