Up 《「わからない」は「世界がわからない」》がわからない 作成: 2009-12-11
更新: 2010-08-03


    専門数学の授業を受けている学生の「わからない」は,「世界がわからない」である。
    自分がどこにいるのかわからない場所から授業が始められ,以後ずっと,自分がどこにいるのかわからない状態を続ける。

    <世界>を持てることで,その中の話についていける。
    学習は,<世界>を持つこととその中の話がわかることが,スパイラルに循環し上昇するようになっている。
    話をきいているうちに,だんだんと世界が見えてくる」調の授業についていける者は,普通ではない。


    なぜ,教員は学生に世界を伝えることをしないのか?
    「世界」の概念をもっていないからである。
    あるいは,「世界を明示的に伝える」の概念をもっていないからである。
    あるいは,「世界を明示的に伝えることが必要」の概念をもっていないからである。
    あるいは,自分の授業で世界は暗黙的に伝わると思っているからである。
    実際,世界を明示的に伝えることをしない教員は,世界を意識していてもぼんやりとしているか,あるいは自分の授業で世界は暗黙的に伝わると思っていることになる。

    自分の授業で世界は暗黙的に伝わっていると思えるのは,どうしてか?
    学生を自分のコピーに見なしているからである。
    自分が自分の話を聴くように,学生も自分の話を聴いていると思ってしまうのである。
    自分が自分の話を受け取るように,学生も自分の話を受け取っていると思ってしまうのである。