Up 教員養成における体系的学問の意義がわかっていない 作成: 2008-03-07
更新: 2008-03-07


    <思考>は学習のたまものである。
    <思考>は,つぎのことによってできあがるのではない:
    • 食べて大きくなる。
    • 生活経験を積む。

    <思考>は,どんな学習によってつくられるか?
    体系的学問である。


    <思考>には,論理的構成,本質直観,構造のとらえ,といった要素がある。
    これらは,人類の歴史が「体系的学問」の形でつくった。
    これらは,人類史の遺産である。
    人類史の遺産は,個人の私的な生活空間の外にある。
    人類史の遺産は,個人が自分の内でつくり出すことはできない。

    <思考>を得る方法は,つぎのものであり,これの他にはない
      「良質な体系的学問に出会い,
       それをじっくり時間をかけて勉強する。」


    良質な体系的学問とは,端的に「科学」である。
    よって,<思考>を得るとは,科学を勉強するということである。
    <思考>を得るとは,「科学者」になるということ。

    翻って,「科学者」をつくるようになっていない教育課程は,<思考>陶冶を行わないようにしている教育課程,すなわち<子どものまんま>をやらせている教育課程である。
    そして,体系バラバラ主義による教育課程が,まさしくこのような教育課程である。

     註 : 体系バラバラ主義の教育方法は:
    • 実用・実際主義
    • 合科主義
    • コア・カリキュラム
    • 基礎学習コース
    • 生活単元
    • 総合学習
    • 体系バラバラ的問題解決学習
    • 体験学習
    • インターンシップ
    • 地域フィールドワーク
    • ボランティア


    学校の勉強は,生活には何の役にも立たない」の言い方がある。
    体系バラバラ主義は,この考え方に立つ。
    体系バラバラ主義に立つ教員養成課程は,つぎのように言っているわけである:
      専門の勉強は,教職には何の役にも立たない

    学校の勉強は,生活には何の役にも立たない」の言い方が出てくる原因は,つぎの2通りである:
    1. 役に立っていることが自覚できない。
    2. よい<学校の勉強>にめぐまれなかった。

    教員養成課程が体系バラバラ主義になる原因も,この2通りである。