Up 生成的理解  


    学習がゴールとする理解の形は,生成的理解。
    すなわち,「少しのことから限りなく多くのことを引き出せる」ような理解。

    生成的理解を構成しているものは,(広い意味での) 理論の「核」と,核からその外延を展開する「推理」。
    つまり,「理屈がわかっている」という言い回しで表現されるような理解が,生成的理解。


    生成を指向する学習の対極は,生成の結果の〈外延〉を生成のプロセス抜きに直接覚え込もうとする学習。
    その学習法は「暗記学習」。

    生成指向は「わかる」指向,外延指向は「できる」指向,と言うことができる。またこの対比は,「know-what」指向-対-「know-how」指向と表現することもできる。



    ちなみに,「わかっている」とは,「生成的理解に既に至っている」ことを表現する言い回し。


    指導は「わかる (know-what)」指向であることが必要。
    ──「できる (know-how)」指向の指導は,学習の破綻をまねく:

    1. 学習が,問題場面や解法,命題の暗記におもむく
    2. まちがった学習法が身につく
    3. ノウハウおよび命題が増えるにしたがい,記憶が追いつかなくなる
    4. 学習の破綻


    ただ,「できる」指向はダメだとたとえわかっていても,生徒の学習の困難を目の前にすると,教師は「できる」指向の授業に向かってしまう。──「こんなときには,こんなふうにしなさい」式の授業へ。
    そして,学習困難に対し「できる」へ逃げるのは,教授/学習の悪循環をまねく: