Up 「同型」 作成: 2010-08-04
更新: 2010-08-04


    数学は,「形」の学である。 「形」を対象化するのは,「同形」の認識に向かおうとするからである。

    「形」は,「構造」のことばで言い換えられる。 このとき,「同形」は「同型」のことばになる。

    対象の構造化の主眼は,(構造の観点を入れなければ別物にしてしまうところの) 他の事物との同一化にある。

    ひとの成長は,事物を外見でとらえることから始まる。 外見でとらえるから,事物は個々に違ってくる。
    成長にしたがい,個々に違っている事物に<同じ>を見ていくようになる。 カテゴリー行動である。

    個々に違っている事物に<同じ>を見ていく観点は,構造である。
    構造は直接見えてはいない。 よって,構造をとらえることは,高度な身体性ということになる。

    ひとの同型の認識は,日常言語に負っている。
    ひとが自然に・苦労せずに高度な同型の認識をもつようになるのは,ことばの習得が同型の習得になっているからである。
    翻って,日常言語が違えば同型の認識も違ってくることが推理されるが,実際これの事実であることが文化人類学によって明らかにされた。

    日常言語に従う同型の認識の先に行こうとすれば,あるいはこれを壊そうとすれば,学問に入ることになる。
    数学は,このような学問の一つである。そして,主要な学問である。
    数学が主要な学問であるのは,数学の学習が<世界認識・世界構築>という身体性の形成に深く関わることになるからである。