Up 答え方の類型 作成: 2010-08-16
更新: 2010-09-20


    なぜ学校数学か?」に対する答え方は,つぎの2つのタイプがある:
    A. 学校数学は人づくりに必要
    B. 数学は有用/必要

    タイプAは,「学校数学は望ましい人材づくりに係わる」を論ずる出口論が主流である。
    ここで「人材」は,「人」を短期スパンで考えている場合である。 「現前の経済的・社会的状況で生き残っていける」が,「望ましい」の内容にされる。

    この人材論的出口論に対しては,「望ましい」の意味を長期スパンで考える出口論も考えられてくる。 これは,「人」のそもそも論をベースにおくものになり,このため「人づくり」の意味も漠然としたものになる。
    本論考は,これを「成長論」の言い回しで「人材論/出口論」に対置しようとする。

    タイプBは,「数学は,この場合このように使われる」を論ずるものが主流である。すなわち,数学道具論である。
    しかし,道具論は,「多くの者は,学校で勉強した数学を将来生活で使うことはない」タイプの数学無用論を認めるものになるので,学校数学を合理化する論にはならない。 また,このときの数学無用論も,「無用の用」論 (後述) の退けるところとなり,理論として立つものではない。
    本論考は,「無用の用」論の形で,学校数学の有用を論じようとする。