Up 出口論主流の役割充足のしくみ 作成: 2010-11-19
更新: 2010-11-19


    出口論主流は,人の営みを創出するしくみとして巧くできている。

    一般に,人の営みを創出する<巧いしくみ>は,つぎのようになっている:

    1. 営みが,人が容易に入っていけるものになっている。
    2. 営みが,長期間やっていけるものになっている。
    3. やがて終焉するが,また同じことの繰り返しが始まる。

    出口論主流もこのようである。
    実際,出口論主流の型・特徴は,<人の営みを創出する巧いしくみ>の条件充足の形として見ていくことができる。


    1. 研究活動に<入りやすい>

    出口論主流が示す研究活動は,入りやすい。
    <入りやすい>の秘密は,表象主義にある。
    表象主義は,リアルとことばの写像論である。 能力の表現になることばを分類することが,能力の分析をやったことになる。

    「○○できる力」の標題を立てると,ことばの分類を内容とする研究行動が開始される。
    「広辞苑で○○をひくと ‥‥」の文言を論文でも見るが,これは表象主義に即いていることになる。

    「数学的な考え方」「数学的問題解決ストラティジー」 は,表象主義でやっている。
    いま立ち上げられている「数学的リテラシー」も,同様を繰り返すことになる。


    2. 研究活動を<長期間やっていける>

    出口論主流 (表象主義) では,「人間陶冶」の意味が,「行為○○ができる力をつける」になる。 (「○○」は行為語。)
    そこで,「数学で○○を」が,授業実践課題の形になる。

    この課題は,無理な課題 (ゴール到達がない課題) になる。
    よって逆に,<長期間やっていける>になる。



    3. 研究活動で<前と同じことを繰り返せる>

    出口論主流の繰り返しは,同型の繰り返しである。
    研究活動の視点から見たライフサイクルは,研究の新天地がつくられ,これがやがって埋まっていくプロセスである。

    同じことの繰り返しを可能にしているものとして,つぎの3点を挙げる:

      (1) 同じ手法を使える
      (2) 世代忘却・主役交代
      (3) 標題効果


    (1)「同じ手法」

    出口論主流は,一般的な能力語「○○」を立てる。
    これに,つぎのタイプの「研究」が続く:
    1. 概念分析研究:
        ○○の意味・内容は?
    2. 授業実践研究:
        概念分析研究から「○○」の要素行為となった「△△」に対し,
        <△△の行為をいろいろ・たくさん課す>の指導法は?
    これは,表象主義の手法である。


    (2) 世代忘却・主役交代

    「同じことの繰り返し」と思われてしまうと,「攪乱」にならない。
    しかしここで,世代忘却とか主役交代が効いてくる。


    (3) 標題効果

    標題で,「これまでにはなかった新しいもの」を演出できる。
    ただしこの演出が成功するためには,巧い標題がつくられる必要がある。
    この意味で,「ストラティジー」「リテラシー」 は,よくできた標題になっている。