Up 振り子運動と不可逆運動の違い──リーダーの有無 作成: 2008-09-11
更新: 2008-09-11


    系の運動には,振り子運動と不可逆運動が観察される。
    学校教育は,振り子運動が顕著な運動の例。
    ITの社会インフラ化は,もうもとには引き返せない不可逆運動である。

    振り子運動と不可逆運動は,どこが違っているのか?

    リーダが統率する系の運動は,振り子運動になる。
    一方,個の自発的運動がつくる系の運動は,不可逆になる。


    リーダが統率する系の運動は,なぜ振り子運動になるのか?

    系を統率できる能力は,個には無い。よって,系を統率できるリーダというものは,そもそも存在しない。 「リーダが系を統率する」は,矛盾である。
    リーダーが統率する系の運動 (矛盾) は,破産に至ってストップがかかる定めにある。

    破産に至ると,リーダーは反対方向の運動を統率する。
    なぜ反対方向か?
    個は,方向に関しては「AでなければB,BでなければA」の考え方しかできない。 リーダーである個は,以前選んだ方向を再びとる。
    こうして,リーダが統率する系の運動は振り子運動──<破産>を両端にもつ振り子運動──になる。


    <リーダーが統率する系>の欠点を見てこれを退けようとするとき,<個の自発的運動がつくる系>を構想することになる。
    自由主義の哲学は,これである。

    自由主義は,<個の自発的運動がつくる系>の不可逆運動に賭けていることになる。 ──<リーダーが統率する系>の振り子運動に「ノー」を言い,不可逆運動の方に賭ける。
    この運動にしても,破産に陥ってストップがかかる定めなのかも知れない。
    しかし,「結果が同じであっても自由 (個の自発的運動) の方を択る」というのが自由主義の立場 (意志) ということになる。


    自由主義が考える人間の系は:
     1. <個の自発的運動>を要素とする。特に,リーダーを持たない。
     2. それ自体が一つの知的生命体のように運動する。
    これは,生命体のアナロジーと見ることができる。
    ──生物学における「個の自発的運動が現す系の知的な運動」の研究としては,「粘菌」を素材にしたものがよく知られている。