Up 論考の内容構成 作成: 2010-11-18
更新: 2010-11-23


    本論考は,「数学的リテラシー」の論点を以下の内容で論考する:

    1. 「数学的リテラシー」「数学的問題解決」「数学的な考え方」を並べたときに現れてくる<同型の繰り返し>の意味

    「数学的リテラシー」は,「出口論主流の意味は?」の問題を導く。
    すなわち,「数学的リテラシー」は,「数学的考え方」「数学的問題解決」の系譜になる出口論である。 この系譜は<同型の繰り返し>を現している。 そこでここから,<同型の繰り返し>の意味の主題化へと進む。
    <同型の繰り返し>の主題化は,これから抜けることを課題化するというものではなく,数学教育の系にとって根源的な生命運動の意味をこれに見るというものになる。


    2. <数学的リテラシーをつける指導法>の存在性

    「数学的リテラシー」は,「<数学>の領分は?」の問題を導く。
    すなわち,「数学的リテラシー」は,課題の独自性を立てることが,存外難しい。 これは「数学的問題解決」と差別化しつつ独自性を立てるというものになるが,このときは<数学>の領分を<数学>から画定するという一般的問題構造を現す。


    3. <数学を使う>の事実性

    「数学的リテラシー」は,「<数学>」の出口は?」の問題を反照的に現す。
    すなわち,「数学リテラシー」は,「数学を使う」者を学校数学のアウトプットと定める。 そしてこれは,つぎを自明にしていることになる:
    ひとは生活において,数学を使えばうまく解決できる問題に囲まれている。 しかし,ひとは数学を使えないために問題解決をやり損じたりパスしたりする。 こうして,生活で損失している。 そして,これは組織/社会の損失でもある。
    しかし,<数学を使えないために実際に損失>を具体的に考え始めると,本当に自明なのか怪しくなる。 翻って,「<数学>」の出口は?」の問いに対する思考停止のあることが示唆されてくる。