Up 繰り返しの形──拍動と振り子運動 作成: 2012-12-25
更新: 2014-07-06


    学校数学の歴史は,同じことの繰り返しを現す。
    「同じことの繰り返し」は,攪乱と均衡回帰の繰り返しである。

    「同じことの繰り返し」の基本形は「律動」であり,そしてこれには,つぎの2タイプが認められる:
      ・拍動
      ・振り子運動


    (1) 拍動
    つぎは,拍動タイプの「同じことの繰り返し」である:
    • 出口論
    • 指導要領改訂
    • 「数学的○○」


    (2) 振り子運動
    つぎは振り子運動タイプの「同じことの繰り返し」である:
    • 「数学で」と「数学を」の行ったり来たり
    • 「ゆとり」と「基礎基本」の行ったり来たり
    • <遊ばせる>と<教える>の行ったり来たり

    振り子運動の二極はそれぞれ功罪相半ばであり,一方への振れが大きくなるとき<失敗>を現す。
    例えば,<教える>と<遊ばせる>の間の振り子運動だと,
      <教える>に振れれば,「授業離れ」が現れる
      <遊ばせる>に振れれば,「学力低下」が現れる
    <失敗>に対しては,これに対する軌道修正として,反転が起こる。
    こうして,振り子運動になる。

    「振り子運動」を「拍動」と比べたとき,いちばんの違いは「振り子運動」が自動運動だということである。
    「拍動」タイプの「数学的○○」は,<新規攪乱の捻出>の労が多い。 「振り子運動」には,この労がない。

    <教える>と<遊ばせる>の二極は,「数学を -対- 数学で」で表現されてきた。
    また,「実質陶冶 -対- 形式陶冶」のように表現する向きもあるが,これは「形式陶冶」のことばの誤用である。