Up 記述手法:要旨 作成: 2013-07-24
更新: 2013-09-19


    「学校数学=形式陶冶」の文脈で考える「形式」は,記述が困難である。 一方,「肝心」の記述が「形式」の記述であるように,「形式」の記述はふつうのことである。
    「学校数学=形式陶冶」の「形式」の記述と,ひとがふつうにやっている「肝心」の記述は,どう違うのか?
    これを考えてみることは,「学校数学=形式陶冶」の「形式」の記述のヒントになる。

    (1) 「傾向性」──カラダの機能的記述

    カラダの記述は,物理的記述は無理である。 機能的記述に代えることになる。
    ライルの「傾向性 (disiposition)」(Ryle 1949) は,カラダの機能的記述である:
      《カラダは,行動傾向として,「if-then」(「このような状況では,このような行動が起こる。」)形式で記述される。》

    「形式」の記述は,実際「傾向性」の記述を形にする。
    特に,「形式」の記述困難は「傾向性」の記述困難である。
    「傾向性」は理論に留まる。 「if-then」の記述は,実際には成らない。 「if」「then」ともに,実際に記述の段になると,複雑系になり,ことばにのらない

    (2) アクロバティックなことばづかい

    「肝心」の記述は,ふつうのことであるといっても,「表現」とか本質論とか境地・達観の記述とかで考えると,記述困難を相手にしている。 そしてこの場合は,かなりアクロバティックなことばづかいにも進む。

    ここでは,記述困難から開発されてくる記述方法も,主題化しておく。
    ただし,本格的に主題化するというのではなく,主題先取で今後の課題にとっておくという趣きで主題化する。
    取り上げる方法も,「アナロジー/メタファ」「ネガ・ポジ」の二つのみである。



    Ryle,G.,1949. The concept of mind. Hutchin-son.
        [ 坂本百大他(訳) : 心の概念, みすず書房, 1987]