Up 事例によって類型の含蓄を示す 作成: 2013-06-20
更新: 2013-07-09


    ここまでに,「学校数学は何のため?」の答えを
      1. xはX1 を勉強する
      2. xはX2 を身につける
      3. xはX3 を行動する
      4. yはYを得る
    に構造化し,そして答えの類型をこの4つの項目の組み合わせパターンとしてつぎのように導いた:
I II III IV V VI
「xはX1 を勉強する」
「xはX2 を身につける」    
「xはX3 を行動する」        
「yはYを得る」      

    この類型化をもとに,つぎに,生徒からの「学校数学の勉強は自分にどんな得がある?」の答えとなる形を導いた:
2
形式 数学
1 形式 形式 - 形式
(形式直接陶冶主義)
───
数学 数学 - 形式
(形式間接陶冶主義)
数学 - 数学
(数学実用主義)

    ここで,すべての生徒に対する「学校数学の勉強は,あなたに得がある」の答えとなるものかどうかを,これらに見ていく。 このとき,数学実用主義が消えて,「形式陶冶」の2類型 (形式直接陶冶主義と形式間接陶冶主義) が残ることになる。


    「形式陶冶」を立てることは,「学校数学を勉強する」と「形式を得る」の間の因果律を立てることである。 しかし因果律は,「学校数学」と「形式」の同定が先決問題になる。
    このとき,理論構築はつぎの二つの立場に分かれる:
    1. 「学校数学」を定めて,これに応ずる「形式」を保留にする
    2. 「形式」を定めて,これに応ずる「学校数学」を保留にする
    実際,形式直接陶冶主義がAになり,形式間接陶冶主義がBになる。

    「学校数学」「形式」は,それぞれ,多様な代入を許す変数である。
    Aは,「学校数学」を数学に定める。
    「形式」として,いくつかの精神的資質を挙げる。
    Bは,「形式」を「生きて働く力」に定める。
    「学校数学」を,「生きて働く力」単元の構成と定める。

    以下,「学校数学は何のため?」の答えの事例において,「多様な代入を許す変数」の実際を見ていく。 ──これは,事例によって類型の含蓄を示すということである。